モノ欲を眺めてみる

街はモノやサービスで溢れかえっている。クリスマス前だからという訳ではない。広告やマーケティングがいたるところに存在していて、欲をそそるようにうまくセッティングされている。
年末ということもあって、来年の手帳売り場が盛大に設置されている。それぞれの手帳の売り文句が並べられて、どれも魅力的に見える。その手帳を手に取るだけで、時間をうまく使いこなせ、夢を叶え、満ち足りたライフスタイルを送る自分を約束してくれているようだ。来年の手帳を買う時、本当に手に入れているのは手帳とセットになった来年の理想と夢。
手帳に限ったことではなくて、欲をくすぐるように、戦略は張り巡らされている。逆に、ここがマーケティングの狙い目なんだと思いながらお店を見て回る。そのモノを手にすることで得られるステイタス、作られる日常やライフスタイルは見えないモノだけれど、モノと一緒に売られるストーリーだ。このストーリーをいかにうまく市場に表現できるかが、実はモノを売ることなんじゃないか。
ミラーレスカメラに興味が出てきて、こっちに来てからパンフレットをいくつかもらってきた。それぞれ全く違った作りになっている。私が好きだったのは、ストーリー仕立てになっているものだった。そのカメラを持つことで送れるかもしれないライフスタイルが綺麗な写真とストーリーで表現されている。逆に興味が湧かなかったパンフレットは、カメラの機能説明がカタログのように並んでいるものだった。カメラの機能の差はよくわからない。ただ、売り方として消費者の私の心に届いてカメラのある生活の具体的なイメージを作り出してくれたのは、その一社だった。
うまく出来ているな〜と感心する。イメージが作られて、欲が湧いてくる。ほら、カメラがあると、こんなに毎日ステキだよ〜とその気になってしまう。そんな心の動きを眺めながら、カメラ売り場を後にしたのでした。