時間を楽しむ街。ラオス・ルアンパバーン

さっきまで平地の上を飛んでいたのに、気がつくと窓からの目線と同じ高さの山と、その山を迂回する先に、谷間が見えている。
ラオスは山岳地帯が多いんだと思い出す。内陸国で、海に面していない。
ルアンパバーンは、直行便でシンガポールから3時間弱。ウイルス騒ぎのせいで、フライトはガラ空きだった。
市内のホテルへはのんびりと15分くらいの道のり。道はしに掲げられた赤地に黄色の旗が取って着けたように、浮いて見える。
並んでいる低い建物、トラックやバイクがパラパラと行き交うのを眺めていたら、大きな川が見えてきた。メコン川だ。
好きな場所にはいつも水があることに気がつく。海でなくても、川や湖がそこにあると、とても落ち着く。
川が眺められるという、メコン川のほとりに立つホテルの部屋。うたい文句通りに、目の前の道をはさんで、すぐにメコン川がある。
雨季には濁った土色だろうメコンは、乾季の今、深い緑色をしている。
半日あれば回れてしまうほど小さな町には、フレンチコロニアル建築が並んでいる。窓の色とデザイン。古い建物の趣き。細い路地に敷かれる階段。どこを切り取っても美しい。それに東南アジア独特の原色が混じり合って、おおらかな雰囲気を作り出している。
時々すれ違う、オレンジ色の袈裟をまとったお坊さん。
町全体が静かなのは、ネオンや広告が無いだけじゃなくて、
深い仏教の信仰心が根付く場所だからだと感じる。
街全体が世界遺産って、こうゆうことなんだ。
すべての旅行は非日常だけど、ここは場所そのものが非日常に見える。
有るのは、メコンが流れる時間。
持て余すのでもなく、間に合わせるものでもなく、
有る時間を楽しむ場所。
燃えるようなオレンジ色に登った満月。暗闇を歩くお坊さんの袈裟が、満月色に浮かび上がっていた。
2020-03-10 by
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